12.幸せ
(スコール×リノア 22歳)


幸せを感じるときは、いつもなの。
わたしの周りには、いつも幸せが溢れている。


「おはよう。」
「おはよう!目玉はいくつ?」
「ふたつ。」
「はーい!」


スコールが起き出してきたので、わたしは早速フライパンを火にかけた。昨日、スコールは教官たちのパーティだったせいで、帰りはかなり遅かった。しかもかなり飲んできたみたいで、今朝は珍しくお寝坊さんだったのだ。


もう、結婚して2年が経った。
月日は遅いようで、あっという間だった。
わたしの料理の腕も、昔よりは上達した。すごく上手とは言わないけど、でも味はいいし、見かけもまあ普通だと思う。


こうやって、日々の変化を感じることも、幸せのひとつ。


ぽんっと、フライパンから半熟の目玉焼きを取り出してお皿に盛り付ける。ちょうどいい具合にパンも焼けたみたい。それも籠に入れて、それから今日は特別に、カットしたオレンジをちいさな小皿に入れる。普段スコールは別に果物をそれほど食べない。だけど、飲んだ翌日はどうも果物を食べたがる。さっぱりとした甘みのものを食べたがる。そういうことを知ったのも、結婚してからだった。


わたしが並べた朝食に、スコールは新聞を読んでいた手を休めて、少しにっこり笑った。


「ありがとう。いただきます。」
「はい、どうぞ!」


コーヒーをマグカップに注いで、スコールにも渡した。わたしは半分くらいミルクを入れてカフェオレにする。スコールはほんの少しだけミルクを入れたものを飲む。


スコールが食べている姿を、わたしはカフェオレを飲みながら眺めていた。
なんていうか、すっごく幸せ、な気持ちがした。
顔が笑顔になる。


ふっとスコールも気づいて顔を上げた。わたしが見つめていることに気づいて、少し笑う。そんな笑顔も、たくさん見ているのに、どうしてやっぱり『嬉しい』と、『幸せ』と、そう思うんだろう?


毎日が幸せなの。
ちょっとしたことも、全て幸せな気持ちを連れて来るの。
それを感じることが出来て、やっぱりわたしは、わたしでよかったと、そう思うんだ。


12.幸せ end.


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何でもないことが、ほんとうに大切。