6.Is this seat taken?(となりあいてる?) (スコール、ゼル、アーヴァインetc・18歳) 「スッコールくん♪」 今日の会議を終えて、食堂でお昼を取ろうと会議室を出たところで、スコールはアーヴァインに呼び止められた。嫌そうな表情を浮かべて、スコールは振り返る。 「・・・・・・・・またか。」 「えへへ、話早いなあ。これからお昼でしょ〜?一緒しない?」 「嫌だ。」 「えー、そんなこと言わないでよ〜。君と僕の仲じゃ〜ん。」 「そんな仲になった覚えは無い。」 そんなことを言いながら、それでもスコールはアーヴァインを振り切ろうとはしなかった。そんなところが人がいいと言うかなんと言うか。アーヴァインはこっそりと笑う。だからいつもスコールに頼っちゃうんだよねえ。 「おばちゃん、ご飯大ちょうだい。」 「・・・・・・本日のラーメン。」 注文を済ませて料理を受け取ると、二人は食堂のあいているテーブルに座った。スコールは嫌そうに、しかし仕方が無い、といったようにラーメンどんぶりをアーヴァインのほうへと置いた。アーヴァインはさっそくもらってきたスープ用器にせっせとラーメンスープを移す。 「いやー、悪いねえ、スコールくん。 スコールくんいつもラーメン食べるから、僕助かるよ〜。」 「・・・・・・・お前なんでそんなに金がないんだ・・・・・?」 「うーん、カードの引き落としが意外に多かったんだよねえ・・・。あ、このチャーシュー1枚もらってもいい?」 「・・・・・・・・勝手にしろ。」 へへっ、ありがとー! そう言いながら、アーヴァインはラーメンをスコールに返した。そして、ご飯に備え付けのふりかけをかける。 「いただきまーす!!」 「・・・・いただきます。」 若い男の昼ごはんとして、ご飯とスープだけというのは非常に栄養的にも問題があるだろう。しかもアーヴァインはAランクのSeeDで、給料もいいはずなのだ。しかしどうしてか、たまに昼メシ代にも困るほど貧乏なときがアーヴァインはある。そして、そのたびに彼は、スコールにたかっているのだった。 スコールは意外にラーメンが好きだ。また、ガーデンの食堂では日替わりラーメンをやっているので、昼ごはんにラーメンを食べていることが多い。それを知っているアーヴァインはここぞとばかりにスープをもらう、というセコイ手を使っている。 そうやっておとなしく食べていると、珍しくゼルもやってきた。そして、アーヴァインの姿を見て溜息をつく。 「よっす、スコール、アーヴァイン!! ・・・・・って、アーヴァインまたかよ・・・・。」 「ゼルひさしぶりー!!あ、ゼルはAランチなんだ〜。いいなあ、カラアゲ〜。」 「やらねえぞ。」 「・・・・・・ケチ。ゼルはケチだよね、ホント。」 「大体なあ、お前みたいに無駄遣いばっかしてる奴に同情なんかしねえ!」 「あ、ひどーい。」 ゼルは同じテーブルに着くと、イタダキマス、とぴょこっと頭を下げてからおもむろに食べ始めた。そんなゼルの姿をちらりと見ながら、アーヴァインは溜息をつく。 「大体さあ、SeeDの給料安すぎるんだよ・・・。3万ギルってありえないよねえ・・・・。」 「別に普通じゃねーか?なあ、スコール。」 「ま、普通に暮らす分には多いくらいだろうな。アーヴァイン、今度は何買ったんだ?」 「んー、ASH.Wでね、新作のジャケット出たんだよー。これがまたカッコいいんだ。しかもね、初回分は限定なんだよ!?裏地が普通のと全然違ってお洒落なんだって!! これは買いでしょ〜。」 「全然言ってることがわかんねえ・・・・。」 ゼルはそう言うと首を振って、またそのままご飯を食べ始めた。 スコールの方はラーメンを食べながら、それでもアーヴァインに詳しく尋ねる。 「ちなみに、アーヴァイン、そのジャケットの値段はいくらだ?」 「え?12000ギル。」 「はあ!?」 「それに、僕けろっと忘れてたんだけど、先月買ったパンツの支払いが今月だったんだよねえ。ダブルで引き落とされちゃって、僕の貯金、今すっからかんだよ・・・。」 悲しそうに溜息をつくアーヴァインを、ゼルは間抜けな顔をしてぽかーんと見つめた。元々ゼルはファッションに興味が無い。だから、給料の半分近くもするジャケットを買うなど、予想もつかないのだろう。 スコールも呆れたようにアーヴァインを見た。そして額に手をつけて、溜息をつく。 「・・・・・・・・お前、もっと考えて買い物しろよ・・・・。」 「一応考えてるって。でもさあ、やっぱ欲しいものは欲しいじゃん?」 「そんな高級品買って昼メシ代も払えないって、バカみたいだぞ?」 「ふふーん、スコールくんは人のこと言えないでしょ〜?」 ちらりと意味ありげに見るアーヴァインに、スコールは少しむっとしたように見返した。 「・・・・・・なんだよ。」 「こないだリノアがしてたブレス、あれS.A.Y.E.がホワイトデー限定で出したやつだよねえ。男物しかやってないのに、ペアで初めて出したって評判の。しかも限定生産だったよねえ。」 「・・・・・・・・。」 「あれさあ、確かペアで3万ギルしてたよねえ・・・。」 「・・・・・・・・。」 すっかり黙ってラーメンをすするスコールに、今度はゼルが驚く。 「何、スコールもそんなたっかいの買ってんのか!?」 「こう見えてスコールも結構貯金ないよ〜。普段使わないくせに、こういうときに大人買いしちゃうからさあ。」 「・・・・・・常に金の無いお前に言われたくない。」 「いいじゃん、同じ穴のムジナってことでさ。」 「・・・・・・・・。」 こいつら、わかんねえ・・・・。 ゼルは何だか食欲がなくなったような気がした。アーヴァインのご飯茶碗にカラアゲを二個放り込む。 「何、ゼル、恵んでくれるの〜?」 「・・・・・・何だか俺、食欲無くなった・・・。」 「なんで〜?でも、ありがと。イタダキマス!」 「お前らさあ、もうちょっと貯金しようぜ?俺なんかもうじき貯金25万ギル超えるぜ?」 「うっわ、ゼル溜め込んでる〜。今度足りないときはゼルに借りようかなあ。」 「貸さねえよ!!」 こんなのが、伝説のSeeDなどと言われている彼らの実態だったりする。 6.Is this seat taken?(となりあいてる?) end. **************** どんなに有名な人間でも、裏を返せばこんなもの。 (B.G.Nとのコラボ作品) |